F★CK🏈BOWL【第3回】

僕の初小説も第3回です。但し、「ゲイ小説」であることから、この先、過激な性的描写・性器描写があることをご了承いただきます。

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第4クオーター残り30秒で、改造人間となって復帰したランニングバック、ローゼンタールのスーパープレイにより、エレクツは逆転勝利して西地区で首位に浮上した。ヒーローインタビューでは他言をせず、正直な気持ちを簡潔にまとめただけだった。

選手たちが整列して多くのファンに向け深々と一礼し、ロッカールームへと引き上げる。

ローゼンタールはヘルメットをずっと小脇に抱えていたが、反省会のあと着替えようとしたら突然、ヘルメットから振動と警告音が発生した。銀色のアイシールドの外側に

「Set up!(直ちに装着せよ)」

と点滅表示される。言われるがままに、ヘルメットを再装着するしかなかった。

装着すると、警告音は止んだ。その代わり、アイシールドの内側にハートのアイコンが点滅。身体がヘルメットに操られるようにして、動き出した。小走りで、スタジアムの関係者通路を半周している。その動きは止まらない。すれちがうスタッフを押しのけて、ひたすら進む。

そのころよもやの敗退を喫したスペルマンズは、ギスギスした雰囲気はなかったものの、みんな「ローゼンタールを出したことが全てだった」の意見で一致していた。

「まさかな、こんなときにランを選択するのが不自然だよ」ラインバッカーのハヤトが話の口火を切った。さらにこう続ける。

「去年のローゼンタールもガシガシ中央突破とかで強引に10ヤード以上進むタイプだった。だから、容易に見つけてタックルしやすかったんだよな」

ディフェンスラインの右につくデヴィッドソンも、「確かに言う通りだ。あんな華奢で機敏な動きは今までなかったよ」と違いをあらわにした。

そこで2シーズン目でレギュラー入りしたラインバッカー・イッキマンがこう言った。「たしかローゼンタール選手は、昨年シーズンが終わってから脳の病気で倒れ、手術のあとリハビリしていたはず。手術のあとで技術がみるみる向上したのかな。それともアンドロイドとかサイボーグに・・・」

話を続けようとしたら、ハヤトがイッキマンの右肩を後ろから叩き、指図した。目のまえには、パッドつきユニフォーム上下、ソックス、シューズ、アイシールドつきヘルメットを装着したローゼンタールが仁王立ちしていた。

(続く)

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話はいよいよクライマックスに入ります。

28日の予定です。